第7章 定年、退職および解雇

 退職等労働契約の終了に関することは、必ず就業規則に記載しなければなりません。労働者に重大な影響を及ぼすものですので、手続きや理由などについてわかりやすく定めることが必要です。

(定年等)
第36条 従業員の定年は、満○歳とし、定年に達した日の属する月の末日をもって退職とする。
  定年に達した従業員について、本人の希望により一定の期間引き続き雇用することがある。
[ポイント]

 定年とは、従業員が一定の年齢に達したことを退職理由とする制度をいいます。
 この場合、退職時期をいつにするのかについては、誕生日の日、誕生日の属する月末、誕生日の属する年度末等の方法があります。

 現在、定年を定める場合は、「60歳を下回らないように努めるもの」とされており、また、定年に達した者が希望したときは、65歳まで雇用するよう努めなければならないとされています(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律)。
 なお、平成10年4月1日からは、定年を定める場合は、原則として「60歳を下回ることはできない」こととなります。

 定年年齢については、女子従業員を男子と差別して低い年齢で決めることはできません(男女雇用機会均等法第11条)。

 定年を定めている事業主であって、61歳以上の年齢まで雇用する継続雇用制度(定年の引上げ、勤務延長、再雇用、出向)を設けた場合には、一定の要件のもとに国の継続雇用制度導入奨励金等を受けることができます。
 このほか、雇用保険により、60歳以上65歳未満の被保険者で、各暦月の賃金額が60歳到達時の賃金月額の85%未満に低下した状態で雇用されているものに対しては、一定の要件のもとに最高で各暦月の賃金の25%相当分を給付することなどを内容とする高年齢者雇用継続給付制度が実施されていますので、申請手続きに協力することが必要でしょう。


(退 職)
第37条
 
 
 
 
  前条に定めるもののほか、従業員が次のいずれかに該当するときは、退職とする。
 1)退職を願い出て会社から承認されたとき、または退職願を提出して14日を経過したとき
 2)期間を決めて雇用されている場合、その期間を満了したとき
 3)第9条に定める休職期間が満了し、なお休職事由が消滅しないとき
 4)死亡したとき
[ポイント]

 期間の定めのない雇用の場合、従業員が本人の都合により退職しようとするときは、いつでも退職を申出ることができます。また、会社の承認がなくても、民法の規定により退職の申出をした日から起算して14日を経過したときは、退職となります。また、民法では、月給者については、これと異なる規定を設けています。

 期間を定めた契約が反復更新され、実質的に定めのない労働関係と認められる場合には、更新の拒絶をすることは、解雇として扱われる場合がありますので注意してください。

 女子従業員が結婚、妊娠、出産したことおよび育児休業をしたことを退職の理由として定めることはできません(男女雇用機会均等法第11条)。


(解 雇)
第38条
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 従業員が次のいずれかに該当するときは、解雇するものとする。
 1)勤務成績または業務能率が著しく不良で、従業員としてふさわしくないと認められたとき。ただし、第49条第2項の事由に該当すると認められたときは、同条の定めるところによる。
 2)精神または身体の障害により業務に耐えられないとみとめられたとき
 3)事業の縮小その他事業の運営上やむを得ない事情により、従業員の減員等が必要となったとき
 4)その他前各号に準ずるやむを得ない事情があるとき
 
 
 
 
 
 
 前号の規定により従業員を解雇する場合は、少なくとも30日前に予告するかまたは平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払う。ただし、労働基準監督署長の認定を受けて第49条第2項に定める懲戒解雇をする場合および次の各号のいずれかに該当する従業員を解雇する場合は、この限りでない。
 1)日々雇い入れられる従業員(1カ月を超えて引き続き雇用された者を除く)
 2)2カ月以内の期間を定めて使用する従業員(所定期間を超えて引き続き雇用された者を除く)
 3)試みの使用期間中の従業員(14日引き続き雇用された者を除く)
[ポイント]

 従業員を解雇するときは、客観的に合理的で社会通念上相当な理由が必要で、これを欠く場合は一般に解雇権の濫用として無効となります(民法第1条第3項、判例)。
 解雇をめぐって労使間でトラブルが生じないよう、就業規則において解雇の理由や手続きを明確に定めておくことが必要です。本条では、解雇に該当する理由を定め、手続きを明らかにしています。

 従業員を解雇するときは、原則として少なくとも30日前に予告をするか、または平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払うことが必要ですが、解雇予告の日数は、平均賃金を支払った日数分だけ短縮することができます。ただし、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となったとき、または重大な服務規律違反など従業員の悪質な行為があったときで、事前に労働基準監督署長の認定を受けた場合は、解雇の予告または解雇予告手当を支払う必要がありません。

 従業員の業務上傷病による休業期間とその後30日間および産前産後による休業の期間[産前6週間(多胎妊娠にあっては10週間)以内または産後8週間以内の女子が休業する期間]とその後30日間は、解雇はできません。ただし、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となったとき、または業務上の理由によって被災した従業員が療養開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合(またはその日以降同年金を受けることになった場合)は、解雇制限が解除されます。

 労基法等の規定により、次のことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをすることが禁止されていますので、注意してください。

 従業員の国籍、信条、社会的身分(労基法第3条)。

 労働者が労働基準監督機関に申告したこと(労基法第104条、労働安全衛生法第97条)。

 従業員が女子であること、女子従業員が結婚、妊娠、出産し、または産前産後の休業、育児休業をしたこと(男女雇用機会均等法第11条)。

 従業員が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、または加入しようとしたこと、労働組合の正当な行為をしたこと(労働組合法第7条)。


目 次
第1章 総則
第2章 採用、異動等
第3章 服務規律
第4章 労働時間、休憩および休日
第5章 休暇等
第6章 賃 金
第7章 定年、退職および解雇
第8章 退職金
第9章 安全衛生および災害補償
第10章 教育訓練
第11章 表彰および懲戒
育児休業および育児短時間勤務に関する規則例
介護休業および介護短時間勤務に関する規則例
参 考